Apple Watch Ultra + “Oceanic+” アプリ First Review
目次
Apple Watch Ultra のダイコンアプリ”Oceanic+”
ようやくリリースされました。
Apple Watch Ultra が発売されておよそ3ヶ月、ようやくダイブコンピュータアプリ”Oceanic+”がリリースされました。
いやー、長かった。でも待った甲斐がありました。ダイブコンピュータアプリ”Oceanic+”を搭載したApple Watch Ultra はっきり言って史上最強のダイブコンピュータです!
肋骨2本折っている状態でありながら早速潜ってきましたのでレビューします。
何より水中での視認性が超ビビット!
左はSCR(セミクローズド・リブリーザー)Mares Horizon(マレス・ホライゾン)のコントローラー。ダイブコンピューターでもあるし、ホライゾンのシステム全般をコントロールするいわばスーパー・ダイビングコンピューター。ホライゾンで潜る時は基本これがプライマリー・ダイブコンピューターです。
この画像を見ていただければ一目瞭然、画像は少しピンボケになってしまいましたが、コントローラーには画面保護のために保護フィルムを貼っているとはいえ、Apple Watch Ultraの視認性は前回ご紹介した通りもうあくまでもクリア。むしろ水中でうっとりするくらいの美しさです。
Apple Watch Ultraの画面はサファイヤ・クリスタルなのでかなりハードな使い方をしてもそうそう傷はつきません。画面は左のコントローラーに比べれば小さいですが、画像がクリアなので、おそらくシニアダイバーでもかなり見やすいのではないかと思います。申し訳ない。自分還暦を前にしても全く老眼はないので実感はできないのでした (⌒-⌒; )
写り込みも少ないですね。左のコントローラーには近くで群れていたカマスの映像がくっきり映り込んでますが、Apple Watch Ultraにはそういった写り込みは全く見られません。
”Oceanic+” はサブスクアプリ
Apple Watch Ultraのファーストレビューでお知らせした通り、ダイブコンピューターアプリの”Oceanic+”は有料のサブスクリプション・アプリです。
前回はこき下ろしましたが、さすがにメーカーも考えてますね。
年に数日しか潜らないダイバーのためにも1日単位のサブスクも可能です。
サブスク料金をきちんとチェックして控えておけばよかったのですが、興奮して一気にインストール、サブスク登録してしまったので正確な数字が出せないのをご容赦ください。まぁ基本ドル建てなので日本円の価格は当然変動します。今は円安なのでちょっとお高めですね。
1日単位のサブスクが1日300円前後、多分US$2/day
1月単位が2,000前後、US$15/month
1年単位のサブスクで現在は13,000円程度。おそらくUS$100/year
で大体合ってると思います。
1日単位のサブスクも可能ってことは年に何日も潜らないというレジャーダイバーでもApple Watch Ultraを持っていて”Oceanic+”アプリさえインストールしておけばダイビングに行くスケジュールに合わせて単日から数日のみのサブスクでアプリをアクティベイトできるので普通のダイビングコンピューターよりむしろリーズナブルかもしれません。ただ自分は年間サブスクで登録してしまったので、1日ごとのサブスクの場合、サブスクが切れた際にどこまでの機能が使えるかの保証できませんのであしからず。ただ今回のアプリの完成度を考えると、さすがにサブスクが切れても最低ログ機能は使えるのではないかと推測します。
”Oceanic+” の実力
ダイブコンピューターとしてここまで多彩な機能を備えたダイブコンピューターは初めてです。
正直圧倒されました。
自分は最近マレス・ホライゾンで潜ることがほとんどなので、メインはホライゾン付属のコントローラーになります。シリンダーにつけてる残圧表示のためのトランスミッターがあるのでセカンドはマレス・ジーニアス。でApple Watch Ultraはスーパーサブ。さらに詳細な体内窒素レベルデータを蓄積できるTUSAのDive Sapience 1000の合計4台のダイコンを常に携行していますが、最も見やすいのは間違いなくApple Watch Ultraです。視認性ももちろんですが、水中では水面休息モードに入った時などにはバイブレーションで知らせてくれます。今回は浅い海でのみのダイビングでしたので減圧モードには至りませんでしたが、浮上速度警告を含めバイブレーションのアラートはあると思われます。
またそもそも各社のダイビングコンピューターはコントロールボタンが多くでも4つ。その制限の中で各種メニューのコントロールを制御しなければならないので、熟練しないとなかなか思うように意図するアクションにアクセスできませんよね?
Apple Watch Ultraならそもそもスマートウォッチなので、ボタンの組み合わせでだけはなく、タッチセンサーで操作することで視覚的に意図するメニューに簡単にアクセスすることができます。それがおそらく”Oceanic+”を使う最大のメリットでしょう。ダイコンを持っていてもそれを使いこなせているダイバーは多くはないと思います。でもApple Watch Ultraなら感覚的に簡単に使いこなすことができるでしょう。
正直、Apple Watch Ultraとダイコンアプリ”Oceanic+”が売れてもうちには何のメリットもないんですよね。そういえば・・・なんで一銭にもならないのにこんなに熱く語ってるんだろ?なんかムカついてきた・・・^^;
Apple Watch Ultra そのものメリット
Apple Watch UltraのPVをぜひ一度ご覧ください。どんな過酷な環境でも万が一の際にはレスキューを要請できるというのがApple Watch Ultraの最大のウリになっています。それはダイビング中でも同様です。さすがに水中での事故では今のところ流石のApple Watch Ultraでも通報は不可能だとは思われますが、水面に上がることができさえすれば救助を要請することが可能。
想像してみてください。ダイビング中に万が一漂流してしまうなどという不幸な事態に遭遇した時を。Apple Watch Ultraがあればどこからでも救助を要請でき、自分の位置を知らせることができます。またボートに見つけてもらえないなどの軽微な漂流であれば、80dBの音で救助を要請することも可能です。
そういえば先般、船から転落して水面を漂流するハメになった方がスマートウォッチをしていたので自ら救助要請することができ助かったというニュースが飛び込んできました。このスマートウォッチがApple Watch Ultraだったかどうかは定かではありませんが、ダイバーならApple Watch Ultraを常に装着するメリットは無限大です。
”Oceanic+” の機能の詳細
ダイビングモード
一度水中に入るとすぐにOceanic+が起動しダイブモードに入ります。
エントリー直後の画面では下の1/3ぐらいにダイブモード開始のメッセージが出ますのでApple Watch Ultraの左下のアクションボタン(左き仕様のApple Watchでは右下)を押すと下のダイブモードの基本画面に切り替わります。
これがダイビング中のApple Watch Ultra + ”Oceanic+”の基本表示です。
上から現在深度、無限圧限界。潜水時間、浮上完了までの時間、そして現在水温です。
右上には現在時間も表示されています。ほとんどのダイブコンピューターは何かのボタンを押さないと現在時間は知ることができないと思います。
必要な情報が視覚的にクリアにまとめられています。潜水時間が秒単位なのも自分的には秀逸です。これまで秒単位で潜水時間を表示するダイビングコンピューターはまずなかったのではないでしょうか?
セイフティストップ深度になるとこの画面が表示され、バイブレーションで知らせてくれます。多少過保護すぎ感もありますが・・・。エントリー直後と同様Apple Watch Ultraの左下のアクションボタン(左きき仕様のApple Watchでは右下)を押してセイフティストップモードの詳細画面に切り替わります。
次の動画がセイフティストップ開始からセイフティストップ・クリアまでの動画。
さて今回のファーストレビューでは残念ながら減圧ダイビングまでには至りませんでしたので、減圧モードに入った時の情報はお届けできません。次にエモンズにでも潜る機会があったら減圧モードのレビューもお届けしたいと思いますのでご期待ください。
サーフェス・モード
ちょっとピンボケで恐縮ですが、水面に浮上した直後の表示が次の画像です。一番上に今のダイビングのプロファイルがグラフで表示され、その下に水面休息時間、次に飛行機搭乗禁止時間が表示されています。さらに下に何らかの情報が表示されていると思われますが、スクロールしなかったので次回アップデートしますね。
ダイビング・プランナー・モード
ここからはもうすでに減圧が完全に完了した状態での自宅での撮影になりますのでご容赦ください。
ダイブプランナー・モードの初期画面です。”Dive Planner”と表示されている後ろについている時刻は撮影した時の時刻ですので無視してください。
まず普通のダイブコンピューターでは現状から潜水直前のプランニングしかできないものが一般的ですが、”Oceanic+”では何時間の何分後のエントリーの予定を指定して、より事前に綿密なダイビング計画を立てることができるところがスゴイ!
次のダイビングプランを想定してボトムタイムを希望の時間に合わせるために水面休息時間をどれくらい取ればいいかを簡単に割り出せるのです。もちろんこんなの昔のダイブテーブルを使ってた時代では必須の知識ではあるのですが・・・・^^;
もちろん普通の空気からエンリッチのパーセンテージも詳細に指定できます。
で最後の”Caluculate”をクリックすると・・・・
一番下のパラメータで予定水深を設定します。今回は30mに設定してみました。
残留窒素ゼロからの潜水計画なので意味はないですが、1時間半後のエントリーでエンリッチ28%の設定です。
結果は・・・・
もちろん他のダイブコンピューターと同じく水深の設定を変えれば、深度に呼応して無限圧限界も変化していきます。
ダイブログ・モード
ダイブログモードでも通常のダイブコンピューターではありえない情報が満載です!
とりあえずはこれがログブック・アイコンをクリックしたときの画面。これまでのダイビング・ログが簡易なアイコンで表示されます。
任意のログをクリックするとこの画面!
まずはトップにダイブプロフィールをグラフで表示。
その下に潜水時間、の次に・・・
スクロールしていないので数字までは表示されていませんが、最大浮上速度の表示。そのダイビングで最も浮上速度が早かった浮上速度を表示します。これは地味ですが、安全ダイビングのためには重要な情報です。自分はプロなので状況に応じて急浮上せざるを得ないケースもままあるものですが、レジャーダイバーの場合は浮上速度が毎分10mを超えているようなら、今後はもっとトレーニングと注意が必要ということになりますね。
さらに下にスクロールすると普通に潜水時間、最低水温、最大水深が表示されます。
さらにスクロールすると出てくるのが ”View map” というアイコン。
こいつをクリックすると!
なんと!ポイントが地図上に表示されるのです!!
こんなダイコン今までないでしょ!あ、GARMINのならできるかも。自分は使ったことないからわかりませんが・・・。
でも残念ながら自分のようなプロユースの場合、できれば緯度経度の座標を表示してほしかったところです。ひょっとしたら裏技があるかもしれませんので今後リサーチしてみます。ま、手持ちのGPSと照らし合わせばアバウトには座標出せますけどね。
セッティング・モード
セッティングモードには4つのアイコンがあります。
プロフィール設定
まずは一番上の “Accout” 自分のプロフィール画面。
自分のアカウント情報、サブスクリプション情報と、緊急連絡先などを登録できます。
General Settings
これは単にUnit、度量衡の設定です。普通はメートル法でOK!
Dive Settings
次はグラディエント・ファクター(ダイビングの減圧演算において保守性、簡単にいえば安全性、をコントロールするための設定)とMODリミットの設定。ま、さすがにMODのMAXが1.4なのでテクニカルダイバーには使用不能ですね。基本Apple Watch Ultraの最大震度は40mとされていて、 ”Oceanic+”も基本的には40m超えの潜水は想定されていないようです。でも先日まだ ”Oceanic+”リリース直前にエモンズで45mまで潜りましたが、Apple Watch Ultraの深度アプリは正常に機能していました。今後”Oceanic+”の大深度での作動状況の情報はアップしていこうと思いますのでチェックしてくださいね。
そして各種アラートの設定。
セッティングモードの画像には出てませんが、スクロールすると一番下に ”Alert” の設定アイコンがあります。潜水時間、最大深度、無限圧限界に達するまでの残り時間、最低水温でのアラートを自由に設定でき、その設定値を下回った時にバイブレーションでの警告を発するようにできる機能です。
今後Apple Watch Ultraはスーパーサブ・ダイコンとしてゲストに合わせて普通の空気の設定で使うつもりなので最大水深は30m、無点圧限界リミット5分、潜水時間45分あたりでアラームを設定しようとは考えていますが、もちろんレジャーダイバーであれば同様に最大深度と無限圧限界リミット、潜水時間の制限だけは設定しておいた方がいいでしょう。
今後改善してほしい点について
と、ここまでApple Watch Ultraのメリットを並べてきましたが、唯一これだけは改善してほしい点というと、できればガス・スイッチ(複数の異なるガスを使用したダイビングでガスの設定を変えることができる機能)を設定できるようにしてほしいという一点につきます。
今のままではマルチガス(複数の異なるガスを使ったダイビング)に対応できません。もちろんそもそも論で公称でMAX40mのApple Watch Ultraでは基本テクニカルダイビングにはそもそも仕様的に使えないわけで、マルチガスに対応する意味はあまりないといえばその通りなのですが、エモンズなどではMAX40m前後の水深からの減圧潜水をすることもままあり、その際には急速減圧と言って100%酸素や50%を超える酸素濃度のエンリッチを使って減圧することもあるのでした。現在市販されているダイブコンピューターのほとんどがマルチガス設定できることを考えたらぜひOceanic+もせめて2種類のマルチガスには対応してほしいところではあります。
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